小学校受験は中学校以降の受験と全く違います

こんにちは!幼児・小学校低学年向け家庭教師派遣のミセスサリヴァン

代表の言水(ゴンスイ)です。



首都圏近郊に住んでおられる場合、お子さまを小学校受験させるのか

中学校受験させるのかで迷われる保護者さまも多いと思います。

以前に

「なぜ中学校受験があるのに小学校受験するのか

というお話しを書かせていただいたことがあるのですが、

今回は小学校受験と、中学・高校・大学受験とどんなふうに

違うのかについて、書かせていただきたいと思います。


近年、小学校受験の戦いは間違いなく激化しており、

どの学校も倍率が上がってきています。

せっかくご準備をされても、そのご準備の方向性が

間違っている場合、頑張ったのにご縁がいただけない

という例が後を絶ちません。

出来る限り正しい方向性でご準備をすすめていただく上で

小学校受験と中学以降の受験のどこが違うのかを

ぜひ知っていただきたいと思います。



1.小学校受験はプリント力だけで合否が決まりません

昨今、私ども小学校受験の世界も少々変わりました。

小学校受験そのものが変わったのではなく、小学校受験の

対策を行う塾に変化が生じております。

より早い進度で難しい問題をどんどん解くスタイルの塾が台頭し、

人気を集めるようになりました。

中には小学校受験の1年前にはペーパーが終わっているというような

教室もあります。選抜クラスには成績が良くなければ入れません。

こういう塾が人気を集めるのは、保護者様が「できるようになれば合格するはず」

「ここまで難しいことをやっているんだから合格できるはず」という心理になることと、

中学校受験や大学受験を勝ち抜いてこられた保護者さまにとって「ハイレベル塾で

成績上位を取る、クラスを上がる」というある意味明解な目標ができることで、

競争心や闘争心を刺激されること、それが原因だと思います。

また、難関塾は難関校への合格者数が多く「見える」という小学校受験を目指す

(※これ以上書けませんが、多く「見える」のです)

保護者さまの心理を一番刺激する数字を見せます。


こういうお教室に通っておられる保護者さまに見られるのが

難関校の幕の内弁当式の志望校のラインナップです。

最難関校の慶應や早稲田、昨今では農大稲花を第一志望にされ、

それよりは倍率と難易度が低い学習院・青山・立教などを第二志望群に

されるケースや雙葉・白百合・東洋英和などの女子難関校を第二志望に

されるケースです。



小学校受験を16年間ご指導させていただいている立場として、

これだけは自信をもって言えますが、中学校以降の試験であれば

お子さまの学力=合否に直結しますが、小学校受験に限っては

お子さまのプリント力=合否に直結、はあり得ないです。

小学校の中にはお子さまのプリント力を大変重視して、それ以外を

あまり見ていないと思われる学校も少数はありますが、

そういう学校はレアケースです。

どの学校も、プリント力があるだけでは合格しません。

プリントが考査にない学校もあれば、プリントの方向性に

その学校ならではの特色があるケースも多々あるからです。


いくらプリントができるからと言って、考査が対面テスターがつく

形式で行われる学習院や立教、成城学園の考査に、対面テストの

対策をせずに挑んだら、普通は合格できません。

なぜならこれらの学校を第一志望に考えている方は、その対策を

徹底的にやっているからです。

対面テスターが付かないプリントの出題される学校でも

それぞれの学校のプリントには特色があります。

成蹊小学校のように難解な図形推理が出題される学校もあれば

プリント自体は難易度の高くない印象でも出題の仕方に特徴のある

東洋英和のような学校も、数の操作が難しい立教女学院のような

学校もあります。学校によって違うのですから、研究せずにひたすら

プリントをたくさんやっても、その学校にフォーカスして対策をして

こられたお子さまに勝てません。



ましてや小学校受験はペーパー以外の行動観察・体操・面接・願書の

すべてを総合して合否判断がされますから、同じ学校を受験されて

ペーパ―がずっとできるお子さまが不合格で、それほどできないお子さまが合格

という例が今年もたくさん出ました。

後で担当の先生に話を聞くと「なるほど、だからだな」と納得のいくことが

大変多いです。


ペーパー校であればペーパー力はもちろん必要です。

ですがペーパー力があるだけでは合格できません。

大手塾(といっても塾によって成績の出方が全く違いますが)で

偏差値が60くらいあるから難関校を、という考え方は非常に危険です。

お子さまとご家庭にフィットする学校を選んで、地道にその学校の

対策にプリントに偏ることなく全方位的に取り組みましょう。



学校によって重視される部分や対策が違いますから、

わからなければその学校をご存知の方に聞いてください。

なお、塾によっては「担当校」以外の情報を持たないケースも

非常に多いですから、通っておられる塾の守備範囲を確認しての

ご相談、場合によっては通っていない教室でも、ご興味をお持ちの

学校の対策を得意としている教室に相談されることをお勧めします。

餅は餅屋です。


2.小学校受験は学校によって好むご家庭お子様が違います

正直の申しあげると、小学校受験は

「保護者さまが選ぶ」試験ではなく

「学校に選んでいただく」試験です。

成績だけで合否の決まる中学校以降の受験とは違い、

お子様・ご家庭と学校の相性というのが非常に大きく合否に関係してきます。

ここを、ぜひしっかり押さえてほしいと思うのです。

ちょっとだけ書きますが、学習院初等科の考査は非常にフェアで

本当に皆さんに平等に合格をいただけるチャンスがあります。

面接にご両親そろっていらっしゃらなかった場合も、第一志望ではなかった

場合も、お子さまとご家庭が学習院に合えば、合格できます。

お勉強ができるかどうかではなく、「合うか」が重視されているようで

どんなに出来てもご縁がいただけないことも、できなくてもご縁がいただける

こともあります。この「合うかどうか」を判断される大きな要因になるのが

願書と面接です。

学習院について書きましたが、他の学校も同じで、学校によって

カラーがあります。ご両親の願書と面接を大変重要視していると思われる

学校もあれば、ご両親の面接がない、またはあってもたぶん重要視されて

いない学校や願書もたぶんほとんど内容が合否に関係しないと思われる

学校もあるのです。



何がいいたいかというと、ぜひぜひ、お子様とご家庭にフィットした

学校をご志望校に選んでいただくか、またはフィットしない場合には

フィットするように(フィットして見えるように全力でご努力をなさって

ください。合わないと学校に選んでいただけないからです。

もちろん、学校がどんなお子さまご家庭をお好きかがわからない場合は

うちにでも塾にでも相談してください。

この場合も、塾の守備範囲はご確認くださいね。

3.小学校受験は出題形式が決定的に違います


小学校受験で成績が振るわないお子さま、ほぼ全員に当てはまるのが

「指示を聞きとる力が弱い」という傾向です。

成績が伸びないけれども概念は理解できている、というお子さまも割と

たくさんいらっしゃいます。

解っているのになぜ成績が取れないのかというと、小学校受験では

自分で問題を読んで解くというスタイルの学校はほぼなく、

発問を聞き取って回答しなくてはならないからです。

どんなに理解力があっても、聞き取り力が弱いと正解できないのです。

見るだけで一目瞭然という問題であれば聞き取る力が弱くても

正解することができますが、昨今ますます私学の小学校は

「注意深く聞き取って考えないと答えられない問題」を出そうと

する傾向が強まっています。

ほぼすべての学校で出題される「お話しの記憶」しかり、

受験を要する小学校は話の聞けないお子さまがたぶんお嫌いです。

ということは小学校受験では概念理解と同じかそれ以上に

発問を聞き取る力をつけることにエネルギーを注ぐ必要があります。


ペーパーは60種類と言われておりますが、この中のどれかが

苦手だったりできなかったりしても、満点が合格ラインの学校を

除いてはたぶん致命傷にはなりません。

私が以前教えさせていただいたお子さまにも、とても利発なのに

なぜかどうしても「左右」が理解できないというお子さまがいらっしゃいました。

特訓してもイマイチ身につかないので、考査の直前にお母さまと

ご相談して、「左右」は捨てることに決めました。

苦手なことにずっと取り組んで自己肯定感を減らすくらいなら

得意なことと発問を聞き取る力を伸ばすことにフォーカスする方が

考査にはプラスに働くと考えたからです。

結果としては日本女子大附属豊明小学校と筑波大附属小学校に

合格されましたから、作戦としては成功だったと思います。


苦手分野は分野にもよりますが出ないことが多いですし、

出たとしても数点の配点です。(成蹊受験生の図形推理は除きますが)

ですが聞き取り力が弱いと、言語で2点、数で2点、図形数理で3点など

バラバラと点数を取りこぼしてしまいます。

受験生さんはぜひぜひ、何をおいても小学校受験特有にして

最大のコツでもある「聞き取る力」を伸ばしていただきたいと思います。



また、前述で項目でも触れておりますが、小学校受験は

ペーパーだけではなく、対面考査が行われる学校や

行動観察が試験科目に含まれる学校も多くございます。

中学校受験でその形式はないですから、小学校受験特有の

考査方式です。これらはペーパーができるからといって

自然とできるようにはなりませんから、別途対策が必要です。

対面考査の場合、ペーパー校での「正解」が正しいとは限らず

プロセスと取り組む姿勢が評価されますから、お子さまが

自分のことばで理由が説明できればペーパー校では「不正解」

となる回答でも正解になることも多いのです。

こういう力はペーパーをどんなに解いていても、それだけで

養われることはありません。

小学校受験を目指されるのであれば、中学校以降の受験よりも

早いタイミングでご志望の学校の考査の方向性にあわせた

対策が必要になります。場合によっては考査の方向性がお子様と

フィットする学校を志望校に選ぶという作戦も多いに有りです。

「選んでいただく」小学校受験では言うまでもありません。

向かない学校よりも向く学校の方がご縁をいただきやすいのは



4.小学校受験では躾は大切です


たぶん、中学受験では必要ないけれど、小学校受験では必須となるのが

お子さまの基本的な躾です。

もちろん学校によってどれくらいの躾が必要かは違います。

ですがどの小学校を受験する場合も、基本的な躾は必須です。

たとえばですが「ご挨拶」を全くしないお子さまの小学校受験は

難しいと思います。

中には他人が自分をどう見るか、他者の目線に気づき始めて

思ったようにふるまえない自分とこうありたいと願う自分との

間で葛藤して、ご挨拶の声が出せん会いというお子さまがいらっしゃいます。

それは、良いのです。葛藤しつつもできることが増えていくなかで

自信を持つようになり、自分がお姉ちゃん・お兄ちゃんであると

認識し始めたら、そういうお子様は必ずご挨拶をするようになります。

私が気になるのは「ご挨拶をしなくて良いと学習してしまっているお子さま」です。


保護者様自らがいろいろな方に気持ちよくご挨拶をされるとともに、

お子様にも必ずご挨拶をするように促してください。

慶應幼稚舎出身のサリヴァンの先生におしえてもらったのですが、

自らの子ども5人を幼稚舎に入れたその先生のお祖父さまの口癖は

「先に挨拶した人がその日は勝ち」だったそうです。

私も本当は内気の人見知りでご挨拶が恥ずかしいのですが

その言葉をお守りに先にご挨拶をするように頑張っています(笑)


あとは「待つことができる」ということも小学校受験には

重要な躾だと思います。

小学校受験の考査は、実は待つ時間がとても長いのです。

その長い時間にもし退屈してぐずりだしたり、大声で

注意を引こうとしたりしたら、どんなに考査を頑張られても

たぶんそれだけでアウトになる学校が多いと思われます。

たとえば大人同士が話している間、お子さまは本を読んだり

折り紙を折ったりしながら、静かに待つことができますか?

待つことができるかどうかも、お子さまも特性によるところではなく

保護者さまがお子さまにどう習慣つけたか、で決まります。

ご挨拶も、待つことも、「ご挨拶させてごめんね、待たせてごめんね」

のスタンスではなく「お兄ちゃんお姉ちゃんになったあなたは

ご挨拶も待つこともしなくてはならない」という保護者さまの

毅然とした方針でお子さまに教えてあげてください。


もちろん成功したら盛大に、心から、お子様を褒めてあげてくださいね。

うっかりというかたまたま1回うまくできたとしても、思い切り褒められれば

お子さまはそれがうれしくて次からもやるようになったりするもので、

その繰り返しが習慣になります。

今回はご挨拶と待つことについて書かせていただきましたが

「食事やおやつの時にはきちんと座っていただきます・ごちそうさまができる」

「背筋を伸ばして座れる・立てる」

「家に帰ったら手を洗ってタオルで拭ける」

「お約束したことを守れる」

「お友達と遊ぶときには順番を守れる」

などなど、特別なことではなく、ごく一般的なことを丁寧に大切に

していただくことで

「自分のことを自分でできる」

「基本的な生活習慣をしっかり守れる」

「見るときに見る、聞くときに聞くことができる」

という小学校受験に圧倒的に優位に働く力を自然と養うことができます。